妖精とカツアゲの話

久しぶりに図書館にいた妖精の話をする。
何曜日か忘れたが午前中いきなり、妖精からいつものどうでもいい調査の依頼電話かと思っていたら、「午後空いていますか?」と訊かれた。

「は?空いていますけど現金でもくれるんですか?現金くれるんだったら時間空けますけれど」
「…現金じゃないのですが、お渡ししたいものがあります」
「何くれるんですか?現金がいいんですけど」
※「あ…現金じゃないんです…」
「現金じゃないんですか?」
「はい…」
「現金がいいんですけど」
「あ…」
「現金」
(※繰り返し)

結局夕方に会うことになったが、約束の時間に妖精は来ず。
遅れてあわててやって来た妖精。自分に気づくことなく通り過ぎていく妖精。追いかけても全く気づかない妖精。
他の職員に私の不在を確認する妖精。
背後からiphoneで撮影する私。
iphoneのシャッター音で気づいた職員に教えてもらってようやく背後に待人が尾行していたことに気づく妖精。


「本当に気づかないんですね!」
「…すみません。周囲が全く見えなくなるんです…(双子の)弟もそうなんです…」
「この間尾行して盗撮した写真見せましたっけ?」
「…はい…」


用件は仕事の話でもなく、「モンスターボールのお詫び」だった。以前駅前でポケモンGOをやっていたら妖精が目の前にいて、捕獲しようと大量消費してしまったモンスターボールを弁償しろと完全にヤクザみたいな因縁をふっかけたことがあったけれど、そのことらしい。紙袋には入った菓子折りが。
「盗撮のお礼です…」
「意味が分からないんですけれどー。そういえば全然話違うんですけど貯金1億持ってるんでしたっけ?」
「え?いや、そんなにもってないですけど…」
「じゃいくらですか?」
「いや、それはちょっと…」
「今度は現金でお願いします」
「いや、それはちょっと…」
(繰り返し)

本当に足に数カ所蚊に刺されてかゆいので職場に戻りたいのだけれども、なかなか話が終わらない。

「蚊に刺されたのでもう帰っていいですか?」
「申し訳ありません…。お詫びにまた次回何かお持ちします…」
「じゃあ現金でお願いします」
「現金はちょっと…」
「じゃあ金券で」
「金券もちょっと…」
(繰り返し)

ようやく開放してもらったら、5分後にメールにはパートさんに撮影してもらったという自分の画像が送られてきた。
手に持ったハートのキャンデーが目についた瞬間、恐怖を覚え、すぐにウィンドウを閉じた。
急に職場の敷地内で呼び出され、ありもしないモンスターボールのお詫びをもらい、「また何かお持ちします…」とは全くもって意味が分からない。急にどうしたのか。大分こじれている。


S木さんにさっそく報告したら「それは恋だ」とからかわれた。
ハートもった写真が送られて来たのは三十路のくすぶり女には刺激というよりも恐怖。まるで事故に巻き込まれた気分。


本当に現金だったらよかった。