あの房総半島のゆるさ

病人の付き添いに大人2人もいらないと思うのだが、父親には診察時や検査だの処置だの次回の診察の日程調整といった細々した事務処理が“あやしい”ため付き添う。検尿の際に女性トイレに入るのに抵抗感があるらしく、一緒に付き添ってくれと電話で頼まれた。検査の後どこのカウンターに行けばいいのか心配で何度も私に確認してくる。
老朽化した病院にも大分慣れてきた、というか諦めたというか。


ファミレスで昼食を取り、次の施設の引っ越しの日取りの話題になったのでそっと今の職場では3月いっぱいで契約が切れること、今転職活動中であることを話した。家族にはあまり仕事のことはこれまで話したことはない。父も母も想像していたよりもあっさりした反応だった。母には「ちょうどいい機会だから戻ってきたら?」とは案の定言われたが、父のほうは兄弟の自死で家に戻ることになってしまった過去があるせいか私にはあまり強くは家に戻れとは言わなくなった気がする。
「ちょっとゆっくりして旅行に行くのもいいんじゃない?」
「大型車両の免許取って、長距離トラックの運転手はどうだ?稼げるぞ」
「仕事を選ばなければどんな職にでもつけるわよ」


なんてハードルの低い両親なのか。あんなに一生懸命受験勉強して東京に出た自分は一体何だったのだろう。
近ごろ視野が狭くなっていたので両親の言葉に少し救われたけれども、そんなにのんびりして大丈夫なのだろうか。不安。