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ブログが普及し始めた2005年から書きなぐっていて、やめどころがわからない

志村けんのコントにでてくるような歯医者の話

いつもと違う歯医者に新規で診てもらったのだが、全くもって大はずれな歯医者だった。



予約していたのに受付に誰もいなかった。後から同じ時間に予約していたと思しき近くのコンビニの袋を持った老婆が入って来た。長年通っている人なのかと思っていたら、私の顔をみるなり慌てはじめた。この老婆が受付の人だった。
老婆がもの凄い面倒くさそうな顔で「レントゲン撮りますぅ?」と訊いてくる。「え?」と聞き返すと「準備しないといけないんですよ…そんなに歯痛みますぅ?」というか老婆がレントゲン撮るの?やりとりが志村けんのコントに出てくるひとみ婆さんみたいだ。
レントゲン室の前でグダグダしていると、飛び込みで診察して欲しいという人がやって来て、「予約していないんですけど、今日空いていますか?」と老婆に尋ねて来た。老婆は間髪入れずに「今日は予約いっぱいで無理(原文ママ)」えー。待ち合い室には私しかいないんだけど。食い下がる急患。「いつが空いていますか?」老婆は大学ノートを引っぱり出して何かを確認(予約を手書きのノートで管理している模様)。何か分かったみたいで急患にひと言、「16時以降なら空いてます」急患「え!?今日ですか?」
急患・私「(さっき今日は無理って言ってなかったけ?…)」
ここら辺で薄々とこの歯医者のヤバさに気づきはじめる。



待ち合い室がとにかく散らかっている。カウンターや棚から溢れているカルテ、紙コップに乱雑につっこんで入っている痛み止めの処方薬。造花が活けてある花瓶、ワイドショーがつけっぱなしのテレビ。家みたいな散らかりっぷり。場末のスナックみたいな雰囲気の店やものを捨てられない家で育ったせいで散らかりに抵抗はないほうだが、病院となると話は別。こどもは絶対診察とか来なさそう。



受付があんな風なので、当然診察室も散らかっていて混沌としている。病院のホームページの写真と全然違う。写真だと窓側にある診察室に自然光が差し込んでいて、いかにもいい感じの歯医者って感じ…。それが全く違う。診察台の奥にが転がっている液晶テレビ。棚のちょっとした出っぱりの上に山積みになっているタオルやら器具やら。使われていない診察台に置かれている荷物…。そして、極めつけは壁や窓、柱にびっしり貼られたキレイな風景や花や動物の写真のカレンダー。一枚一枚は綺麗なんだけれども…。枚数が…。窓全部覆っちゃってるし…。多分目隠しのためなんだろうけれども完全にアレな感じ。ホームページ作った業者、出て来い。町医者の口コミサイトに「よかったです♥」って星3つつけた奴、出て来て謝れ。



この病院を予約したことを完全に後悔していると、部屋の奥のほうからヨレヨレのおじいちゃん先生登場。寝癖ついてる。白衣に毛玉たくさんついてる。
受付の老婆が手が離せないらしく、受付のほうから老婆が「(かかって来た)電話に出て下さーーーい!」と強めに叫んでいるが、先生の反応ゼロ。歯医者なのだから病院の雰囲気はアレだけれどしっかり治療してくれるに違いない…!と淡い期待をしていたが、この後あっさりと期待を裏切られる。
奥の小部屋(楽屋)から出て来たのは先生だけ。歯科助手の姿はない。完全に先生のワンオペ処置だった。吸引も削るのも全て先生。口が閉じないように口から重りぶら下げられる。唇が割れて血が出ていても気にしない。ワセリンつけてくれない…。拷問。先生ひとりでなかなか思うように処置ができないようで、目の前でため息をつかれる。ああ…。器具があちこちにあるようでなんども隣の診察室行ったり来たり、照明をつけたり消したり(なかなか点かない)。この歯医者にしてこの先生あり。あっぱれ(白目)
ここで何故この病院が夜23時まで診察しているのか、祝日も休日診療を取らずに診察しているのか色々悟る。きっと私や先ほどの急患のように飛び込みで治して経営している病院なんだろう。大してありがたみも感じていなかったが今まで言ってた歯医者のほうが何万倍もよかった…。




先生と会話したのはどこが悪いのかという最初の質問だけ。申告した歯しか診ない。他の歯を診る気ゼロ。削るのか、埋めるのか、どういう処置をするのか説明もゼロ。こっちから強気で訊かないと何も説明してくれない。インフォームドコンセントを知らないのか?歯医者でよく言われる「口をゆすいで」とか「しみますよ」とか「削りますので少し響きますよ」なども一切なし。椅子が起きれば勝手にやってのスタンス。すすぎ終わったら「倒します」なしで診察台を倒されて作業再開、終始無言の診療。
最後にごにょごにょ小声で説明してすぐに奥の楽屋に戻っていく先生。削って埋めてからじゃ遅いんだって、先生。本当に質問しないと何もないので半ば呆れて大声で「せんせー、ご飯はすぐに食べても大丈夫ですかー!?」とアホな質問して終了。歯の治療っていうか、芸人のネタを見せられたに近い。




診察日も元々別の日に予約していた「先生に不幸があったので日にちを変えてほしい」と頼まれてこの日になったのだけれども、こう色々あると「先生の不幸」というのもちょっと疑わしい。

診察が終わって待合室に戻るとやっぱり誰もいない。なぜ誰もいないんだ。予約はどうしたんだ。あの大学ノートは何なのだ。
病院は開けてるけれど、本当は患者に来て欲しくないの病院なのだなと自分を納得させようとしたが、会計時に老婆がスッと年賀だと言ってタオルと歯ブラシくれた。
やる気があるのかないのかどっちかにしてほしい。